理論や技術は陳腐化する

化粧品が完成するまでにはとてつもない時間を要しています。まず私達のサロンに通っおられるお客様に必要なものが、サロンからの報告書やISOのお客様の声から上がって来ます。それを受けて、商品課と工場の研究室が試作を始めます。商品課には、薬剤師や生物化学に詳しい者もいて、原料の組み合わせの整合性を見ています。試作品が出来上がると、社内の化粧品オタク達に配られ使用感の調査が始まります。それと同時に教育部に回され、技術や他の化粧品との組合せに違和感がないか、求めている効果が現れるかをチエツクして行きます。この行程が3.4回繰り返され、工場の研究者が辟易した頃、大満足の商品が出来上がります。全部自分達が納得して、それでやつとお客様にお勧めできるようになります。ですから新しい商品が開発されてから、お客様に実際に勧めるまでに1年半くらいかかつたりします。美容の世界では「これが今年の新しい美白パック」と発表されて広告がでると、あっという間に売れたりします。確かにスピードも大事です。でも、私は美容のプロですので、間違いのないものをお客様に選んであげたいと思っています。それも、世界中で一番いいものを選んであげたいと思うのです。効果が分からないのにお客様には勧めることはできません。たとえ化粧品の業者がいいと一言ったとしても、それは私達にとってはひとつのデータでしかないのです。業者がいい商品だと勧めたとしても「自分達が使ってみます」と答えて、そこから自分達で使って調べます。そして、間違いないと自分達で納得ができた時に、やっとお店に出すことができます。そういうふうなこだわりは、昔から全然変わっていません。最近、よくある商品で、つけたら細くなるとか、胸につけたらバストアップするとかいうものがありますが、未だよくわからないので採用する事ができていません。

 

脱毛の技術も習いだしてから2年後くらいにやっとお店に導入しました。納得するまで大切なお客様に施術することができなかったのです。「先生、永久脱毛って本当に毛がなくなるの?」とお客様に質問され、私は脱毛の勉強を始めました。神戸にある脱毛スクールに2週間通い、脱毛の理論や技術の基本を学びました。しかし、お客様に脱毛を施す勇気が持てませんでした。そんな時、アメリカではすでに州によつては「脱毛士」という資格があり、職業にもなっているらしいと聞き、その資格のあるサンフランシスコまで勉強しに行きました。